第198章

手術時間はとても長く、16時間ほどかかった。

曲折はあったものの、最終的には成功した。

ただ、稲垣栄作は目覚めなかった。彼は静かに手術台に横たわったまま、稲垣七海の手術が成功したことも、彼女が手術室から運び出されたことも知らなかった……そして明日がどうなるかも知らなかった。

ただ横たわりしているだけだ。

松本裕樹はゆっくりとマスクを外した……

彼は無表情で機器のモニターの数値を見つめていた。その数値は見る者の心を凍らせるものだった。稲垣栄作の生命徴候は非常に微弱で……いつ命が尽きてもおかしくないほどだった。

松本裕樹は医師として生死を見慣れていたはずだが、この瞬間、どうしても割り...

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